統計勉強の本棚(ベイズ統計)
ベイズ統計は通常のネイマン・ピアソン的な統計学と異なり、いくつか興味深いトピックスがあります。この分野の基本的な知識を得るときには以下の文献などが良いかと思います。
ベイズ統計学入門 渡部 洋 (著)
いくつかあるベイズ統計学関連の書物の中でも基本的な事項を丁寧に解説している定評のある1冊です。この本でベイズ統計の基本的な事項(事後分布の概念や基本的な統計モデルへのベイズ統計の適用など)を学習した後に他のベイズ関連の書籍を読むと理解が増すかと思います。心理・教育系でベイズを扱いたい人には格好の入門書です。
ただし、分かりやすさを重視したため、多変量データへのベイズ統計学の適用が説明されていなかったり、MCMCなどの最近のサンプリング手法の説明がなかったりします。そこは別書籍でフォローすべきでしょう。
入門ベイズ統計―意思決定の理論と発展 松原 望(著)
こちらもお勧めの1冊です。著者の松原先生は統計書を分かりやすく書くことでは定評のある先生ですが、この本もベイズ統計の基本的な考えを分かりやすく解説しています。また、最近のシミュレーション手法などのトピックスも入っており、より原理から理解が進むような構成です。
ただし、章によっては少し理系的な知識が必要な部分も入ってきます。それらに対しては著者のほかの本や確率・統計の基本文献の学習が必要になってきます。
ベイズ統計入門 繁桝 算男 (著)
統計を勉強して、基本的な知識が身についた時点でベイズ統計に挑戦するのならばこの本も良書です。この本は多変量データにおけるベイズ統計の適用について詳しく書いてあり、教育データ、マーケティングデータなど多くの変数を扱うデータ分析をベイズで行うとどうなるかについての基礎文献でしょう。
統計勉強の本棚(初級)
少し難しいと思ったら以下の参考書籍をじっくり読んでみても良いでしょう。
「よくわかる心理統計」山田 剛史 (著), 村井 潤一郎 (著)
主に心理実験で仮説検定を利用する読者にむけて分かりやすく検定の基礎理論や
心理統計でよく使われれる手法について解説しています。
「統計学入門 (基礎統計学)」東京大学教養学部統計学教室 (編集)
統計を学問として学びたい人にはお勧めの本です。少し厚い本なので最初の「本書の使い方」
にも載っているように抜き出して勉強しても十分に役に立ちます。
心理統計の技法 (シリーズ・心理学の技法) 渡部 洋 (著)
卒論を書くときに良く分からない心理統計の技法に出会ってしまったときにまず最初にお勧め したいのがこの本。心理統計で利用される代表的技法を分かりやすく、ポイントを押えて説明してくれます。各章が独立しているので必要になった技法のみを読んでも役に立ちます。
章末に参考図書が指示してあるのも非常に便利です。
Q&Aで知る統計データ解析―DOs and DON’Ts (心理学セミナーテキストライブラリ)
繁桝 算男 (著), 森 敏昭 (著), 柳井 晴夫 (著)
実験結果の分析中、不安になったらとりあえずこの本!という声を良く聞きます。
著者の先生方は心理学系の長年データ解析に携わっており、実践家が陥りやすいミスをこの本は明確に指摘・説明してくれています。心理統計解析のリファレンスとして手元にあっても良いかもしれません。
フリーソフトウェアRによる統計的品質管理入門第2版 (単行本)
荒木 孝治 (著)
もはや分析の現場におけるデファクトとなりつつある統計パッケージ「R」。品質管理(QC)分野でも盛んに利用されています。この本は、品質管理の基本ツール「QC七つ道具」をRを用いて実践的に学習するお勧めの本です。著者の荒木先生のページにはこの本で用いられるQC用プラグインや事例データが提供されていて、独習も出来るようになっています。
また、分析も「Rコマンダー」というGUIを通して行うため、難しいコンピュータ知識が必要ないことも便利です。
製造現場やソフトウェア開発においてデータによる品質管理を行う際には事前にこの本で勉強するとよいでしょう。
入門統計解析 倉田 博史 (著), 星野 崇宏 (著)
上の「統計学入門」を読んで、より詳しい理論に興味を持った人、または「よくわかる心理統計」を読んで数理的な面に興味を持った人は次にこの本を読むとよいでしょう。記述統計や、確率の基礎、仮説検定に中心をおいて、その仕組みを分かりやすく解説しています。
著者の倉田先生や星野先生は計量経済・計量真理分野で目覚しい業績を上げている一線の研究者であると同時に教育についても熱心な方々です。
一般的な数理統計の本を読んで途中で挫折した方にもお勧め。基本的な事項が体系だてて書いてあります。